Aquanaut Ref.5065/1A&1J
一説にはPATEK PHILIPE社の前社長、フィリップ・スターン氏がレマン湖のヨットセーリングの時に使用しようと製品化したとも言われる。
シンプルでありながら、凝った造形のケースは言うまでもなくNautilusの系譜。
ファーストピースたるRef.5066は名品であったが、現代ではやや小さい印象を与える。
わずかな時を経てリリースされた、Ref.5065は手頃なサイズと抜群の装着感によって普段使いのPATEK PHILIPPEとして絶大な支持を受けることとなった。
中でもメタルのブレスレットを組み合わせた仕様は評価が高く、製造中止になった現在も探し求める声が絶えない。
厳密にはラバーストラップ仕様の物の型番はRef.5065Aとなり、ブレスレット仕様のRef.5065/1Aと異なる。
当初メーカーではブレスレットの単体販売は行わないとアナウンスしていたが、どのような事情か近年では購入が可能とも聞かれる。
いずれにしてもRef.5065は今後も一定の評価を受けることになるだろう。
さらに密かに製造されたRef.5065/1Jはあまり知られていないモデルだ。
1997年頃から数年間のみラインナップされたYellow Gold製のアクアノートである。
造形はRef.5065/1Aと全く同じとなっているが、そのエクスクルーシヴな素材から、与える印象はまったく異なる。
LuxuryとSportsが共存した佇まいは、何者にも代え難い価値を秘めている。
加えて、アクアノートというネーミングらしく120m防水機能を備え、ラバーストラップにも交換が可能と、日常やリゾートあらゆる局面にふさわしいタイムピースといえるだろう。
ステンレスモデル同様、非常に複雑な造形のメタルブレスレットはリンクがピンによる打ち込みとなっていて実に精密な動作をする。
調整駒はネジ式のピンで接続されているがネジの頭がアール状に研磨されているなどその造り込みに驚かされる。
面白いことに、ステンレスモデルとゴールドモデルではわずかな違いがある。
ケースの造形はほぼ共通だが、ブレスレットの構造を比べると、3列あるメタルブレスの両サイドは完全に無垢素材だが、中心列に限ってはイエローゴールドモデルは中空構造となっている。
ただし、精密切削によるもので、板材のプレス加工などではないため質感は損なわれていない。
また、駒を調整するネジ式のピンの太さが明らかに違い、ゴールドモデルの方が細くなっている。
当然ねじ穴も小さく、使用する工具のサイズも変わってくる。
個人的にはトルクのかけにくいゴールドを太く造ってほしいと思うが、おそらく担当工房ラインの違いで、意図したものではないのかもしれない。
あるいは他モデルと加工精度の兼ね合いの可能性もある。Ref.5065/1Jの生産個数の少なさを考えればやむを得ないだろう。
エントリーモデルでありながら、ヘアライン仕上げを少なくし鏡面ポリッシュを多用する一見矛盾した仕上げと、同様にSolid Goldのモデルを用意するという心憎い演出がPATEK PHILIPPEらしいと思うのは筆者だけだろうか・・・
by pp5396 | 2010-12-30 10:41 | PATEK PHILIPPE | Trackback | Comments(5)
2000年のPPのカタログに、5065Jの写真と価格は載っていますが、5065/1Jは写真だけで価格が空欄になっておりました。ブレス仕様は受注生産だったのでしょうかねぇ。
5065/1Jはノーブル且つスポーティな(他と一線を画す)オーラを放つ、素晴らしい時計です。
Ref.5065/1Jの価格は年度によって変動していましたが300後半から400万円ぐらいだったかと思います。
手元に正確な資料がないのですみませんが調べてみます。
Ref.3403素敵ですね。
カラトラバオートの最高峰のリファレンス、私もほしいです。
機会がありましたら拝見させて下さいませ。
お返事が前後してしまい申し訳ありません。
情熱的な記事、楽しく拝見しました。
やはりコレクターさんならではの表現や視点が素晴らしいですね。
今度はPNやOQなど教えてください。
個人的にはOQケースのパーペチュアルが気になっています。
なかなかいいものが見つかりませんが・・・普段使いによさそうです。
また近々お目にかかれれば幸いです。