A story of purchasing the DB5 from Newport Pagnell Vol.2

まず私がした事は、世界のDB5のマーケット、バリュー、そのスタンダードを分析する事でした。
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DB5のマーケット形成には一つのマイルストーンがあります。
この1964年製DB5/登録ナンバーFMP 7Bの車両は007/ゴールドフィンガー及びサンダーボールの劇中で使用された、ある意味本物のボンドカーです。
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2010年10月27日、ロンドンで開催されたRMオークションで、2,912,000GBPで落札されました。
これは当時のレートでは4,608,500USDに相当します。
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映画撮影で使用された実物、という付加価値が特別な物であるにせよ、オークショニアのハンマーが振り下ろされた瞬間、DB5の存在がより特別なものになった、といっても過言ではないでしょう。

それ以前から人気が高い車種ではあったのですが、オークション後には世界各地でDB5の価格が一層上昇し、それに伴いDB4やDB6の価格も高くなっていきます。
外観に大きな相違のないDB4 Sr.4 Vantage及びDB4 Sr.5は、コンディションによってはDB5とさほど変わらないプライスが付けられていることもあります。

また2107年12月2日には、ロンドンで開催されたBonhamsのオークションで、Sir. Paul McCartneyがかつて所有したDB5が1,345,500GBPで落札されています。
これは今日のレート@148に加えて日本での消費税を加味すると2億1千500万円ほどにもなります。
著名人のプレミアムということももちろんありますが、この個体は複数回オークションにかけられており、前回の落札価格は日本円で4,000万円ほどでした。

見方を変えれば、クラシック・アストン・マーティンのレストアを得意とするファクトリーにとっては大きなビジネスチャンスであり、現役で走行できる個体のみならず、草原に放置されていた錆びたボディや納屋で眠りについていたお爺ちゃんの遺産を錬金術の如く、ミリオンカーに仕立てる機会を得たことを意味していました。

結果それまでより多くの個体がレストアされマーケットに供給されたにもかかわらず、旺盛な需要はそれを軽々と飲み込んで、DB5(と前後シリーズ)は欲しいけれど買うことが出来ないというLuxuryかつPremiumな状況に置かれることになっていきました。

DB5のクーペボディはわずか1,023台の製造といわれていますが、需給の逼迫は価格の上昇とともに、ファクトリー間の競争によりそのレストア品質も急速にレベルアップさせていったのです。

私はこの調査を始めてしばらくしてから、無意識のうちにお客様にはベース車両の購入及びハイレベルなレストアレーションの組み合わせをお勧めしようと考えていたと思います。
ボディカラーが自由になることや内装色の組合せを選べるであろうことも理由だったかもしれませんが、Vintage Carにおいてはレストア・レコードというある種のエビデンスが重要な要素であることに気付いていったからです。
助言してくれた海外の友人でクラシックカーコレクターの方の意見もその方向を示唆していましたし、オークション会社のスペシャリストの意見も同様なものでした。

しかし問題は、どのようなルートでベース車両を見つけ、どこのファクトリーにレストア作業を依頼するかという事でした。

次第に眼目は販売されている車両そのものではなく、ファクトリーの技術水準や実績の調査などへ移っていったのです。

イギリス車メーカーの多くは、過去に販売した車両-Heritage-を大切にしており、Aston Martinはもとより、Bentley(含むCrewe RR), Jaguarなどもメーカー自身が過去に販売した車両のパーツを誠実に供給しているほか、消耗パーツなどは純正品だけではなくOEM品も豊富にあり、そのほかオリジナルを下取る形のリビルトパーツも大きなマーケットを形成しています。
したがって英国のクラシックカー・レストア・マーケットは、プロ・アマチュア問わず、活況である事がわかってきました。

では、バックヤードビルドの文化を持ち、ハンドワークやクラフトマンシップを大切にする英国においても特別な地位を確立しているアストン・マーティンのベストなレストア・ファクトリーはどこなのか?
私はさらに調査を進めていきました。

ミラノにあったカロッツェリア・トゥーリングの設計によるスーパーレッジェーラ製法を導入し、組み立てられたDB5の構造は極めて繊細かつ複雑で、完全なレストアには高度な技術と蓄積されたノウハウが必要になります。
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DB5はスティールフレームにアルミのボディパネルという構造であることから、電食を防ぐ塗装技術は重要な要素の一つで、単に美しいボディ塗装が出来ればよいというものではありません。(例えば現在ではフレームには高品質な粉体塗装が採用されています、この意味でも新車以上の技術が採用されているといえます)
またアルミパネルには原則としてパテ盛り整形を行わないことが望ましいとされていますから、複雑な曲線のアルミ製ボディパネルの成型が出来る技術を持っている必要があります。

参考にした書籍によれば、現在イギリスにはクラシック・アストン・マーティンのレストアで名声を得たファクトリーが5社あるといいます。
実際は更に多くの素晴らしい会社が存在するでしょう。

マニュアル、パーツ販売なども幅広く手掛け比較的規模の大きいAston Workshop(Since 1988), リペア用の独自コンポーネントを商品化しているRS Williams(Since 1968), 30年以上の歴史を持つAston Engineering(not found the website), アストン出身の技術者を多く抱えるDesmond J Smail(Since 1976)

そして、今回私たちがコンタクトしたAston Martin Worksはれっきとしたメーカーのレストア部門であり、近年規模の拡大に伴いニューポート・パグネルの施設の一部はシームレスにモダーン・アストン部門と共有されているものの、組織としては分社化されておりアストン・マーティン・グループを構成しています。
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そこでまず公式サイトを通じて問い合わせのメールを出しましたが、1日経っても2日過ぎても返信がありません。
イギリスとは時差が8-9時間(季節により)ありますが反応が悪いな、という印象でした。

しかし、のちに私の認識が甘すぎた事を思い知るのです。
Vol.1の記事はこちら
Vol.3の記事はこちら

  by pp5396 | 2018-05-09 04:17 | Aston Martin | Trackback | Comments(2)

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Commented at 2018-05-09 05:44
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by pp5396 at 2018-05-09 10:00
鍵コメ様、ありがとうございます。

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